リモートとリアルが混在するこれからの教育現場には
一体感をつくりだす「ミーティングオウル」が有効

立教大学 様

入学から一度も登校できずキャンパスライフを味わえない大学生も出てきた新常態下において、学生の権利である学びをどう確保するのか──各教育現場での模索が続いています。リモート(遠隔)とリアル(対面)が混在する状況でも、質の高い学びを格差なく提供したいからと、東京都豊島区の立教大学大学院では「ミーティングオウル」を導入。すでに利用を開始しています。新年度(2021年4月)からは、大学院の授業は基本的にリモートとリアルのミックスになることが決定しています。「オウルさんが来てくれて助かってます!」と語る、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・萩原なつ子教授のゼミを訪ねました。

立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科 教授 萩原なつ子先生

それぞれの発表をディスカッションするゼミでは、対面で参加している学生全員が見渡せるようにオウルを教壇の前に設置。

オウルに同梱されている操作手順を記載したPOPも役立っている。

学生さんはそれぞれパソコンも持参するが、プロジェクターでも画面を共有。リモート側にはこのように教室全体のパノラマ映像と話者のズーム映像が配信されている。

「オウルさん」と呼んでしまう可愛らしさに一目見て購入を決意。使用感は思った通り!

──萩原先生は21世紀社会デザイン研究科で最初にミーティングオウル(以下オウル)を採用したそうですが、どういった経緯だったのでしょうか?

オウルのCMを見て「これだ!」と直感したんです。スーツの会社員(東京03の角田晃広さん)が会議室でワーッとパソコンを持ち歩きアタフタしている、あのCMです。「これはおもしろい!」と飛びつきました。もともと、新しいものが出るとほしくなってしまう性格でもありますが、こういうツールを待ち望んでいたんです。

──なぜ待ち望まれていたのですか?

緊急事態宣言による外出自粛要請で、講義やゼミは軒並みリモートになりました。問題は外出自粛要請が解除された際にリモート(遠隔)とリアル(対面)のミックスで授業やゼミを運営することが求められるので、どのように行うのかということに悩んでいました。遠隔と対面という場所の違いはあっても、みんな同じ学びが共有できる環境を実現したいと考えていたんです。

──導入までの流れはどのように進んだのでしょう?

まずは自分の研究費で購入しました。わたしは21世紀社会デザイン研究科の委員長でもあるので、まずは自分が試して本当にいいのかどうかを確認し、学生にも体験してもらって感想をヒヤリングすることにしたんです。

──萩原先生、学生さんそれぞれどのような感想でしたか?

音声がすごくいいですね。遠隔で受講している学生も、ストレスがないという感想でした。話者が360度どこに座っていても、AIが映像も音声もフォーカスしてくれるので臨場感があります。操作も、オウルに会議の始め方などの手順を記載したPOPが同梱されているので、それに従って進めれば大丈夫。最初はパソコンのスピーカーを切っていなかったというこちら側の問題でハウリングを起こしたりしましたが、一度学習してしまえば次回からは問題ありませんでした。先生側のストレスもなくすことができると実感したので、「これは必須です!」と研究科の専任・特任教授、合わせて11名全員の授業で使っていただくことになりました。

──ほかの先生方からの反応はいかがでしたか?

本導入の前に、わたしのオウルを貸し出して実体験をしてもらうことになったのですが、多くの先生方が「スマホに新しいアプリを入れるのは面倒だし……」と言うんです。でも、実はアプリは必須ではないんですよね。接続方法も用意されているPOPのとおりシンプルで、AC アダプターをオウルに接続して電源ケーブルをコンセントに刺して、USB ケーブルをオウルとPC に接続するという3ステップだけです。実際にやってもらうと、「簡単ですね」と納得してもらえました。結果、体験してもらった先生方は、「早く使いたい、すぐほしい」と言われ、11台が導入されると直ちに抱きかかえていかれましたね。

──オウル導入前に使用されていた機器と比べていかがでしょう?

机の上に置いて使う一般的なweb会議用のマイク・スピーカーは、いろいろな会議で目にしてきましたが、音声が途切れやすい印象がありました。また、人数が増えるといくつも机上に置くことになるので、「黒いものがいっぱいあるなあ」と気にもなってしまっていました。一方、オウルはクリアな音声で一対一の存在感があるのと、目が光ってくれて「こっちを見てくれている」という安心感があるのもうれしいポイントだと感じています。

学校は“学生ファースト”であるべき!否が応でも改革しなければならない

──現在は、21世紀社会デザイン研究科の先生全員が使われるのですね。

専任と特任の先生方にはひとり一台。兼任講師の先生方への貸し出し用に数台購入します。研究科としては結構大きな支出でしたが、“学生ファースト”ですから。学生さんには、自分たちが求める質の高い授業を受ける権利がありますし、こちらもできる限り応える努力をしなければなりません。オウルのようなツールが出てきて、とても有難いですね。

──新型コロナウイルス感染症の拡大があったからこそ改革が進んだ側面もあるのですね。

そうですね。一度目の緊急自粛宣言が解除されたあと、ルールを守ったうえで対面ゼミが可能になりましたが、やはり自主的にリモートを選択する学生もいましたので、ストレスのないミックス型のゼミを工夫しなければと先生方と話していたんです。でも、新しい機器に不安を抱く先生方もおられ、なかなか踏み出せずにいました。ところが、そんなことは言っていられない状況になった。否が応でも対応しなければならない。この先、たとえ新型コロナウイルス感染症が終息しても、リモートとリアルのミックスは必然となります。

──オウル導入前と導入後の違いは、ゼミに現れていますか?

昨年の夏に、ゼミをしたのですが、オンラインで遠隔参加の学生と、ここに集まるリアルの学生が混ざっていました。ランチタイムに、対面にいる人だけで盛り上がってついついリモート側のことを忘れてしまったんです。すると、リモートの学生から「さみしい……」という声が漏れてきました。一緒にいる感覚を共有するには、web会議でつなぐだけでは限界があったんですね。オウルが来てからは、モニターの向こう側にいる遠隔の学生も、こちらの状況が見て取れます。「違和感がない」「同じ場所にいる感覚がすごくいい」と感想をもらいました。越県外出の自粛要請を受け、いつもなら登校できる千葉県や静岡県の方も来られなかったのですが、やはり「臨場感がある」と喜ばれていました。

──ゼミは何人くらいで実施されることが多いのでしょうか?

遠隔と対面を合わせて15~20人です。対面が10名程度なので、オウルにはちょうどいい人数じゃないでしょうか。360度カメラによるパノラマの映像で室内全体が映し出されていますし、その時々の話者にフォーカスした映像も自動で出てきますから、一体感が感じられるのかディスカッションも活発になります。

一人一台の“マイ・オウル”体制や学びの場での使用だから望みたい改善点

──これからどのように活用していきたいというようなイメージはありますか?

新年度から、遠隔と対面のミックスになることはもう決まっています沖縄在住の方も入学してくる予定です。すでに研究科の先生全員が一人一台という“マイ・オウル”体制ですから、活用していきたいというより「なにがなんでもやらなくちゃ!」と。遠隔の受講者も、対面の受講者も、学びに格差が出てはいけません。どんなツールがあればそれが実現するか? この問いに答えてくれるツールが、「ホッホウ」と鳴いて現れたんです。

──オウルの起動音がお気に入りなんですね。

もう、一番心をつかまれた部分と言ってもいいくらいです(笑)。姿もかわいらしいうえに鳴き声まで愛おしくて、思わず「よしよし」と撫でてしまってます。豊島区の地形がフクロウに似ているということなどゆかりがあって駅前にはふくろうの像がいっぱいありますが、その池袋にある立教大学にオウル(ふくろう)はぴったりですよね。

──最後に、オウルに改善してほしい点はなにかありますか?

安定感がほしいので、いまの半分くらいの高さでもいいかなと思いました。というのも、初めて実物のオウルを見たとき「倒してしまうかもしれない」と思ったんですが案の定、ゼミで使用中に机を移動させた時にUSBケーブルを引っかけて倒してしまったんです。教室という場所は人が動くところですから、その点を配慮いただけたらなと……それで、わたしが思ったのは、「オウルに招き猫の下に敷くような「座布団」的な台座がほしい!」ということでした。安定感も出るんじゃないかなと思っています。あと、ぜひお願いしたいのは、マイ・オウルを見分けるシールを貼れるスペースなどがあると助かります。取り違えないような工夫ができると良いですね。

学生さんの声

「萩原先生のゼミをリモートで受講したとき、モニター画面の上部に教室の映像が横長で出てきて、『おもしろいな』『教室の様子がよくわかるな』と思っていました。『今日はだれだれさんが来ているな』とか、『話し合いが活発だな』とか、遠くにいてもそこにいる感覚になれました」

「話す人だけではなく、聞いている人も画面に映るのがいいと思いました。みんなが緊張しているのか、リラックスして聞いているのか表情が見えるので、リモートのこちら側は自分一人でも、みんなと一緒にいる気持ちになれて肩の力が抜けるんです。対面で受けている感覚に近かったですね」